2026年のバファローズは65勝76敗2分の4位。3・4月は首位を走りましたが、宮城大弥と山下舜平大の両輪を肘の手術で失い、終わってみれば3位と13.5ゲーム差でした。
このオフ、チームは何を補えば2027年に巻き返せるのか。支配下・育成あわせて全90選手の1軍と2軍の成績を点数にして並べ、ポジションごとの穴と、ドラフト・FA・外国人で埋めるべき順番を整理しました。10月5日に発表された戦力外の内容も反映しています。
この記事の要点
- 最優先は先発投手 宮城・山下が2027年前半は不在。チーム防御率3.96と与四球428はどちらもリーグワーストで、1年目から投げられる先発が要ります。
- 次に一塁・DHの長距離打者 本塁打96はリーグ最少。頓宮が戦力外となり、杉本・シーモアも計算できず、この枠はほぼ空いています。
- 守護神とエースの残留が前提 マチャド(35セーブ)とエスピノーザ(13勝)はどちらも契約最終年。二人が抜けると、補強の優先順位そのものが変わります。
2026年のバファローズを数字で振り返る
まず、チーム全体の数字です。投手は防御率・失点・与四球がリーグワースト、打線は本塁打と盗塁がリーグ最少でした。点を取れず、四球から崩れる試合が多かったことが、そのまま順位に表れています。
3.96
防御率(リーグ6位)
428
与四球(リーグ最多)
96
本塁打(リーグ最少)
20
完封負け(両リーグ最多)
出典:NPB公式サイト「2026年度 チーム成績(パシフィック・リーグ)」をもとに作成
一方で、収穫もありました。来田涼斗が102試合で9本塁打と右翼に定着し、山中稜真は一塁と捕手をこなして打率.259。救援では椋木蓮(33ホールド・防御率1.91)と山﨑颯一郎(25ホールド)が勝ちパターンを固めました。打線の中心は24歳の紅林弘太郎、25歳の太田椋で、野手の核が若いのは明るい材料です。
全90選手を点数にすると、上位は7人だけ
当ブログでは、1軍の成績(最大70点)、2軍の成績(1軍での出場が少ない選手ほど重く見る)、年齢による伸びしろ(最大20点)を足して、全選手に総合点をつけました。投手は防御率とFIP(守備の影響を除いた投手の実力を測る指標)の平均、野手はOPS(出塁率+長打率)を軸にしています。
その結果、Sランクは紅林とエスピノーザの2人、Aランクは5人でした。上位7人のうち5人が投手で、そのうちエスピノーザ・マチャド・九里の3人は、来季の契約がまだ決まっていません。
| 順位 | 選手 | ランク | 総合点 | 2026年の主な成績(1軍) |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 紅林 弘太郎(遊撃) | S | 83.0 | 135試合 打率.262 18本 OPS.770 |
| 2 | エスピノーザ(先発) | S | 78.3 | 13勝6敗 149.1回 防御率2.71 |
| 3 | 太田 椋(二塁) | A | 74.2 | 124試合 打率.281 9本 OPS.753 |
| 4 | マチャド(抑え) | A | 68.1 | 51登板 35セーブ 防御率1.20 |
| 5 | 椋木 蓮(救援) | A | 68.0 | 49登板 33ホールド 防御率1.91 |
| 6 | 山﨑 颯一郎(救援) | A | 61.2 | 52登板 25ホールド 防御率2.21 |
| 7 | 九里 亜蓮(先発) | A | 60.2 | 9勝12敗 163.2回 防御率3.19 |
ランク別の人数は、S2人・A5人・B10人・C16人・D54人(引退3人を除く)。Dの多くは育成選手と、1軍での出番がほとんどなかった若手です。全選手の順位と計算方法は、近日公開の「全選手ランキング」の記事で詳しく紹介します。
ポジション別に見ると、穴は先発と一塁・DH
2027年に計算できる選手を、ポジションごとに並べました。◎は主力が固定できている、×は計算できる選手がいない状態です。
| ポジション | 評価 | 主な選手と課題 |
|---|---|---|
| 先発 | △ | エスピノーザ、九里、ジェリー、曽谷、髙島、寺西。宮城・山下は2027年前半は不在で、外国人2人の残留も未定 |
| 救援 | ○ | マチャド、椋木、山﨑颯、博志、入山、東山、富山。勝ちパターンは強いが、7回より前をつなぐ層が薄い |
| 捕手 | △ | 若月が正捕手。森友哉は左手首の手術明けで契約満了。若手は育成の堀だけ |
| 一塁・DH | × | 山中が一塁を守ったが2本塁打。頓宮は戦力外、杉本は打率.164、シーモアは退団濃厚 |
| 二塁 | ◎ | 太田が打率.281・出塁率.350で定着 |
| 三塁 | ○ | 宗が14本65打点。ただし国内FA権を取得した |
| 遊撃 | ◎ | 紅林が18本・OPS.770。チームの中心 |
| 外野 | ○ | 西川、来田、渡部、中川。頭数はそろうが長打が少ない |
10月5日の戦力外で、一塁・DHの穴はさらに広がった
10月5日、球団は支配下の頓宮裕真と阿部翔太、育成の寿賀弘都・芦田丈飛・村上喬一朗・香月一也の計6人に戦力外を通告しました。
なかでも影響が大きいのは頓宮です。2023年のパ・リーグ首位打者ですが、2026年は2月に右膝を痛め、7月に手術を受けて1軍出場はゼロでした。本来なら一塁・DHの長打を期待される立場で、この退団で「一塁・DHで計算できる長距離打者」は事実上いなくなりました。阿部翔太は2軍では38登板で防御率2.91でしたが、1軍では13登板で防御率10.13と苦しみました。
引退した平野佳寿・山田修義・西野真弘とあわせて、支配下の枠には空きができています。この枠をドラフトと外国人、育成からの昇格でどう埋めるかが、このオフの焦点です。
補強ポイントを優先順に整理する
1. 1年目から投げられる先発投手
最も急ぐべきは先発です。宮城は4月に左肘の靱帯を痛め、山下も右肘の不調で、どちらも5月にアメリカで靱帯の再建手術(トミー・ジョン手術)を受けました。復帰は早くても2027年の夏以降とみられます。
残る先発陣は、エスピノーザ(防御率2.71)と九里(163.2回)が柱ですが、二人とも来季の契約が決まっていません。ジェリーは3勝10敗、曽谷は9月に左肘の違和感で抹消されました。ドラフト1位は、高校生の素材型よりも、1年目からローテーションに入れる大学・社会人の右腕を優先したいところです。
2. 一塁・DHを任せられる長距離打者
チーム本塁打96はリーグ最少で、首位ソフトバンクとの得点差(483点と706点)の大きな原因です。二塁打205はリーグ2位なので、打球を遠くへ飛ばせる打者が1人加わるだけで得点力は大きく変わります。
ドラフトの長距離打者は育つまでに時間がかかるため、即効性があるのは実績のある外国人打者です。FAやトレードでの獲得も含めて、一塁・DHの「打てる大砲」を最低1人は確保したいところです。
3. マチャドとエスピノーザの残留
35セーブで防御率1.20のマチャド、13勝のエスピノーザは、どちらも契約最終年でした。球団は慰留に動いていると報じられていますが、他球団の関心も伝えられています。
マチャドが抜けた場合は、椋木か山﨑颯を抑えに回すことで対応できます。一方でエスピノーザが抜けると、先発の補強が1人から2人に増えます。残留交渉の結果によって、ドラフトと外国人補強の方針が変わる点に注意が必要です。
4. 捕手の世代交代
正捕手の若月は打率.224と打撃が落ち込み、森友哉は8月に左手首を手術して4年契約が満了しました。20代前半の捕手は育成の堀だけで、1〜2年後を見据えた補強が必要です。ドラフトの中位で、大学・社会人か高校生の捕手を1人加えたいところです。
5. 左腕と三塁の備え
左の先発は曽谷と宮城頼みで、田嶋大樹は国内FA権を持ち去就が未定です。中継ぎの左も富山が中心で、大学の左腕は狙い目です。
三塁は宗佑磨が国内FA権を取得しました。2軍で11本塁打の内藤鵬はまだ育成段階のため、宗が移籍すればすぐに穴になります。残留交渉が補強の一部と言えます。
筆者の見方
「エスピノーザとマチャドが残る」ことを前提に、ドラフト1位で先発、外国人で長距離打者を1人ずつ補えれば、2027年後半に宮城・山下が戻ったときに優勝を狙える形になります。どちらかが流出した場合は、外国人枠を投手に振り向ける判断が先になると見ています。
10月22日のドラフトで狙いたいタイプ
2026年のドラフト会議は10月22日です。10月12日時点で、球団は1位指名を公表していません。ここまでの分析から、指名の方向性を次のように考えます。
- 1位:1年目から先発ローテーションに入れる大学・社会人の右腕
- 2〜3位:大学の左腕と、一塁・三塁を守れる長距離打者
- 中位:捕手(大学・社会人、または高校生の素材型)
- 下位・育成:高校生の素材型と、独立リーグの即戦力(育成から支配下を勝ち取った例が続いているため)
2025年のドラフトでは高校生を多く指名し、1位の藤川敦也も高校生でした。素材型が育つまでには時間がかかるため、2026年は即戦力寄りの比重を高めたいところです。報道や予想で名前が挙がっている候補については、ドラフト前の記事で詳しく取り上げます。
2027年の見通し:前半を耐えて、後半に勝負する
2027年前半は、宮城・山下のいない先発陣で戦うことになります。先発の補強と外国人2人の残留がそろわなければ、2026年以上に苦しい戦いになるでしょう。
裏を返せば、二人が順調に戻る後半は先発の質が一気に上がります。救援は椋木・山﨑颯を軸に安定しており、野手も紅林(24歳)・太田(25歳)・来田(23歳)と核が若い。2027年は後半勝負、本格的な巻き返しは2028年というのが、データから見た現実的な見通しです。
もう一つの課題は故障です。2026年は宮城・山下を含む6人の投手が靱帯の再建手術を受けました。岸田監督もシーズン終了後に「コンディショニングを見直さないと」と話しており、補強と同じくらい、投手の体の管理が2027年の成績を左右しそうです。
このあと公開する記事
この記事を軸に、ストーブリーグの動きに合わせて次の記事を順に公開し、この記事の内容も更新していきます。
- 全90選手ランキング:1軍と2軍の成績から見たバファローズの戦力
- ドラフトの補強ポイント:オリックスが1位で指名すべきタイプ
- FAと外国人の去就:宗・田嶋・エスピノーザ・マチャドのオフ
- 育成から支配下へ:2027年に昇格を狙う選手たち
出典・参考
- 日本野球機構(NPB)「2026年度 個人成績・チーム成績」
- 日本野球機構(NPB)「オリックス・バファローズ 選手一覧」
- ベースボールチャンネル「オリックスの戦力外通告2026」(10月5日)
- デイリースポーツ(10月4日)岸田監督の続投について
- Full-Count(10月4日)
総合点・ランク・FIPなどの指標は、上記の公開データをもとに筆者が計算しています。去就やドラフトに関する内容は10月12日時点の報道にもとづくもので、確定した情報ではありません。